■ご相談者:○○不動産株式会社
■件名:検査済証がない中古住宅の減価について
▼ご相談の内容
ある戸建住宅(築後20年程度経過の中古住宅)
の購入を検討されているお客様がいます。
この検討されている物件ですが、建築確認は得ているものの、
検査済証の交付は受けていません。
市場の流通性に制約がかかるなどの理由で、
このような物件の価格は相場より下がるものなのでしょうか。
また、下がるとすればどの程度下がるものなのでしょうか。
以上2点について、ご教示下さい。
■ご回答
いろいろなケースがあり、一概に言えませんが、
一般論としてお話させてください。
また、本件は100%の正解はなく、人により意見も異なりますが、
一人の鑑定士の意見としてご理解いただければ助かります。
1)物理的な考察
①建物が建築確認通りに建っている(検査済がないだけで適法)、
②容積オーバー・建蔽率オーバー・違法増築等の完全な違法物件、
①か②かによって違いがあります。
理論的には①の場合減価は発生しないが、②の場合は発生します。
その減価額は理屈としては違法を適法に直す費用
と考えることができます。
適法に直す費用は違法の程度により異なります。
ただし「築20年程度」ということなので、
もうすでに戸建住宅の価値は(耐用年数25年として)
新築の価値から▲80%~90%となっており、
建物価値は(新築1,800万円として)
180~360万円程度となっていることから、
適法に直す費用が建物価格を上回るケースがあるかもしれません。
その場合でも少なくともその建物がある方が高く売れるのであれば、
減価は建物価値が上限となります。
2)市場性の考察
①戸建住宅の市場性を判断するのに最も重要なのが、
ローンが利用できるかどうかです。
フラット35でも検査済証のない物件に融資が出来る・できない、
と金融機関によっても意見が分かれております。
建物適合証明が出るかどうかでご判断いただければと思います。
(この点に関しては融資を受ける金融機関にご相談してください)
②さらに、住宅ローン控除に関しても、
築20年超なら建物適合証明を受けている必要がありますが、
検査済証の有無と建物適合証明は別の問題であるので、
建物適合証明が出るかどうかでご判断いただければと思います。
(但しこの点に関しては税務署等にて確認してください)
③不動産取得税の軽減に関しても、②と同様です。
(但しこの点に関しても同様に税務署等で確認してください)
建物適合証明が出てローンが下りる場合は減価は発生しません。
ローンが下りない場合は減価が発生します。
減価は建物価値が上限となりますが、
上記の通り築20年なので建物価値自体が下がっており、
大きな減価はないと思います。